ゆるり徒然、薄明かり

空想めいた日々。孤独の中にも光を探す。のんびりと日常や思考を綴るブログ。

電車は乗るより眺めたい・踏切散歩

夜、散歩を兼ねて買い物に行った。暴力的だった夏の暑さも8月の終わり頃になるとだいぶ鳴りを潜めて、おてんばだった幼馴染みの女の子が少し目を離していた間に急に大人になってしまったみたいな一抹の寂しさを感じる。

秋らしくなってきてコオロギだか鈴虫だかなんかが鳴いている。めっきり涼しくなったなあ、なんて思っていると、「うあ〜、あっちぃ〜!」と男性数人が大声で横を通り抜けて行った。そうか。まだ暑いのか。と思いながら飲みかけの炭酸水を水で薄めたやつを飲み飲み歩いた。

家にあった、ペットボトルに半分だけ残ったレモンの炭酸水。それだけ持って出ても外出中に喉が乾きそうだったので水で薄めて増量してみた。意外とイケた。ジュースみたいに甘くないから味も特別変わらない。弱めの炭酸水になるだけだ。私は強炭酸というものがこれまで少し苦手だった。舌や喉を殴り付け痛め付けるような刺激が少年漫画に出てくるツンデレ暴力少女みたいで。そうか、強炭酸って薄めて飲めばちょうどいいんだ。この日私はツンデレ暴力少女を攻略した。ちなみに私はツンデレよりクーデレが好きだ。

そして店に寄り、落書き帳、小さなスケッチブック、ボールペンを買った。私には子供の頃から本能に刻まれている文房具収集癖があるので、まだ手にしていないものや新商品を見るとつい買ってしまうのだ。おかげで部屋の片付かざること山の如し……。でもやめられないの。これもう中毒かもしれない。落書き帳ってどこのメーカーかによって全然紙質も書き味も違うんだから。えー、この話は長くなりそうだからまた今度。

外へ出ると料理屋の室外機からゴマ油の匂いのする熱風が吹き出してきた。ついでに汗も吹き出してきた。歩いてると暑くなってくるけど、その暑さをさらに促進させるような匂いだ。その時、匂いにも暑いとか涼しいとかがあるってことに気付いた。ゴマ油の匂いは暑い。じゃあ涼しい匂いってなんだろう。かき氷の匂い?でもそれはただシロップの香料でしかない。なんだろう。なんて考えながらうろうろしてたけど、答えは特に出さなかった。

帰る前、踏切に立ち寄った。特に意味はないけどなんとなく踏切が好きなのだ。ドラマを感じるというか、青春っぽい気がして。踏切を渡りきったらいつの間にか別世界にいたり、踏切の向こうに好きなあの子(架空)がいたりしそうだから。

遠くに行きたいみたいな曲を聴きながら、リュック背負って踏切のそばの道をとぼとぼ歩いて、今だけ家出少女という設定で感傷に浸るという遊びをした。私はこういう意味のない遊びが好きです。誰かと一緒にこういう空想遊びをしてみたいと密かに思ってたりするけど、今のとこそれに付き合ってくれた人はいません。というか、そんな話をしたことがない。世の中みんな忙しそうだしね。ちょっと寂しい。

ぼんやりしていたら、大きな音で電車が踏切を横切って少しびっくりした。暗闇の中に走る光と人影。いろんな思いを抱えた人がそこにはいるわけだけど、私がそれを知られることは絶対にない。

ふと、電車って乗るより眺める方が楽しいかもと思った。安全圏から傍観者でいられる感じがする。乗り物のにおいも揺れも私は苦手だし、酔いたくないし。でも電車の光や動きは悪くない。勝手にドラマを想像して楽しめるし。

多分私はまた踏切に行くだろう。なんとなくあの道のルートが少し気に入った。それに飽きたらまたそのうち別の道をうろうろして、空想に適してそうな場所を探そう。